自分自身の体もそうですが、体力の衰えた高齢者や幼い子供を含めた大切な家族のことを考えると、消費者として注視しておきたいのはケイ素サプリメントの各商品の「安全性」や「商品情報の信頼性」です。支払って終わるお金(販売価格)と違い、「本当に大丈夫?信頼できる?」という気持ちは購入した後でもずっと残ってしまいます。そこで、本サイトでは、「消費者への正しい情報提供や消費者保護」を目的としてそこで、研究者や専門家へ確認・相談し、「消費者の注意事項」をいくつかまとめてみました。まずは、定番の「濃縮液タイプ」に多い、強アルカリ性についてです。非常によく注意しなければならない点、また消費者が騙されてはいけない点などがいくつかあります。
まず知ろう。「アルカリ性食品」と「そのものがアルカリ性」であることは違う!
アルカリ性の食品はBefore、アルカリ性食品はAfter
簡単にいうと、アルカリ性の食品は食べる前にアルカリ性のもの、アルカリ性食品は食べてから体の中でアルカリ性になるもの、ビフォーアフター(Before-After)の関係です。
食べる前と後で酸性とアルカリ性が入れ替わる食品もあります。わかりやすい例でよく説明に使われるのは梅干しです。「酸性の食品」の代表である梅干しや酢は「アルカリ性食品」ですつまり、梅干しそのものは酸性ですが、体内で代謝されたあとはアルカリ性を示すのです。
Before-Afterについてもう少し知りたい方の為にちょっとだけ詳しくご説明します。
Before・・「アルカリ性の食品」は、食品そのもの、食べる前にアルカリ性を示す食品です。その為代謝してからも(食べて体に栄養分として取り込んでからも)アルカリ性であるかどうかはわかりません。
After・・・アルカリ性食品か酸性食品はその食品に含まれるミネラルがアルカリ性か酸性か、食品を代謝してから(体の中に栄養分として取り込んでから)アルカリ性になるか酸性になるかが、アルカリ性食品か酸性食品かの判断基準です。それを確かめるにはその食品を燃やした灰を水の中に入れて、その水溶液のpHを確認します。水溶液がアルカリ性ならアルカリ性食品、酸性なら酸性食品となります。これは体内で行われている代謝を燃焼という形で疑似的に作り出して判断しているからです。
ここで私たちが理解する必要があるのは、「アルカリ性の食品」=「アルカリ性食品」ではない、ということです。
アルカリ性食品は体にいいと言われている=この食品はアルカリ性(の食品)だから体にいい。という理論は化学的に間違いだということです。
そしてアルカリ性でもとくにpH11を超える強アルカリの取扱いについては、私たちの身を守るために、消費者として知っておかなければならない注意点がある、ということも理解しておく必要があります。
濃縮液タイプは、漂白剤・業務用強力洗剤レベルの「強アルカリ性」
強アルカリの取扱いに関しては私たちの身を守るため消費者として知っておかなければならない注意点がある、とお話をしました。
まず、強アルカリってどんなものなのでしょうか?
私たちの身の回りで酸性、中性、アルカリ性を考えてみます。
まず、私たちの肌は弱酸性。そのため、お肌に優しい化粧水やボディーソープなどはpH4.5~7付近の弱酸性です。水道水はpH6.8~8.1位の中性です。ミネラルウォーターでアルカリイオン水と呼ばれているものは弱アルカリ性でだいたいpH9~10程度です。強アルカリとはその上のpH11以上のものです。図1に、外部の研究機関に依頼してケイ素定番商品と、濃縮液タイプと同じ強アルカリの漂白剤・強力洗剤のpHを測定してもらった結果を載せています。
下の洗剤(アルカリ電解水)とある洗剤は強い汚れ落ち効果があるとして最近話題の強力洗剤です。普段キッチンなどで使っている台所洗剤は、アルカリ性では危険なので中性洗剤が多いですが、アルカリ電解水洗剤、マジックリン、カビキラーなどは強アルカリで油分を溶かすタイプの強力な洗剤です。同じく、クリーニング屋さんが使う業務用強力洗剤や漂白剤も強アルカリ性です。このような強力洗剤・漂白剤は、洗浄力が高くなっているため、手袋を着用する、目に入らないよう注意するなど使用には十分の注意が必要です。
図1の比較でわかる通り、ケイ素サプリメントの濃縮液タイプのものはこれら漂白剤・強力洗剤並みの強アルカリであることがわかります。
飲用の際、希釈して飲むという理由もわかりますね。手に触れないよう注意喚起されている強力洗剤・漂白剤と同じレベルの強アルカリ性のものをそのまま飲むなんて考えただけで少しぞっとしてしまいます。
これらの濃縮液タイプと言われている商品がアルカリ性であることはメーカーのホームページなどで触れられています。先ほどの話に戻りますが、アルカリ性(の食品)なので、鉄の釘が錆びない、つまり抗酸化作用があるといったBefore、Afterの違いを無視した説明をしていることから事実です。
しかし、濃縮液タイプの販売者やメーカーは、その強アルカリ性である商品に対する消費者が認識すべき注意点には残念ながら触れていません。強アルカリはたんぱく質を溶かします。アルカリ性強力洗剤で手荒れがするのは皮膚がアルカリで溶けるからであり、目に入ったら失明の可能性もあります。でも、その危険性を正確に伝えようとすればするほど、そんな危険なものを食べてもいいのかという疑念が浮かび、商品にはマイナスイメージとなってしまします。メーカーとしては積極的にPRしたくないのは当然です。
薄めれば強アルカリではなくなりますので飲むときには問題はありません。でも、私たち消費者の手元にある濃縮液が強アルカリであることは間違いないのです。その危険性を知らずに目に入れてしまったら?小さいお子さんやペットがそのまま飲んでしまったら?
最初にふれた「商品情報の信頼性」には、商品の取り扱いや危険性も含まれます。果たして「この商品はアルカリ性です」という情報だけで私たちの安全を守るのに十分でしょうか?
騙されてはダメ!濃縮液の広告手法の「釘が錆びない」という抗酸化作用が、同様に体内で起きるとは決して言えない!
これまでアルカリ性の食品とアルカリ性食品、強アルカリの強力洗剤についてご説明してきました。ここで濃縮液タイプのメーカーHPで見られるいくつかの誤った記載について商品情報の信頼性といった観点でみていきたいと思います。
商品情報の信頼性を見るにあたり、アルカリ性の溶液の特徴について、関連した内容をいくつかご紹介します。
まずは強アルカリ溶液とさびとの関係。水中に鉄を入れると錆びます。しかし、強アルカリイオン水の中に鉄を入れた場合、そのpHが保たれている水中にある間は錆が発生しません。これは強アルカリイオン水の酸化還元電位が低いことに関係するのですが、詳しい説明は専門的になるので省きます。強アルカリの液中では鉄はさびないんだな、程度に思ってください(実際には共存するイオンにより異なったりもしますがこちらも専門的になるので省きます)
次に強アルカリ溶液と油との関係。水と油は混じりません。しかし、ある一定の条件で水と油が均一に混じって乳化します。この乳化させるのに必要なものが台所洗剤などに入っている界面活性剤と呼ばれるものや、食品に含まれる乳化剤です。しかし油の主成分である乳脂肪は実はアルカリによっても溶けます。
ここで、強アルカリ性の濃縮液タイプのホームページを見てみます。
濃縮液タイプのケイ素サプリメントの販売ホームページでは、図2のような宣伝を良く見かけます。濃縮液タイプのケイ素サプリメントの販売者やメーカーは、「鉄の釘を、水に入れていると錆びるけど、我が社のケイ素液に入れていると錆びないんですよ。これが抗酸化作用です。つまり、体に良い」ということを宣伝しています。また、「油と水は通常、分離している。しかし、我が社のケイ素液に浸していると、融和・一体化される。これが乳化作用。つまり、体に良い」とアピールしている販売者は少なくありません。
何かにお気づきになりませんか?そう、これはこの商品が「アルカリ性の食品」なのでアルカリ性の特徴を持っていますという事実にすぎません。
Before(食べる前)のアルカリ性が証明されたからといって、それがAfter(食べて体に取り込まれてから)の体内での影響に結び付くとは言えないからです。
そしてもしこの商品が仮にアルカリ性食品(代謝されてからもアルカリ性である食品)だったとしても、その体内における作用について釘や水と油で証明できるものでもありません。体内では様々な酵素反応やホルモンによる影響などがあり、これとこれを組み合わせたらこうなるという単純なものではないからです。もしそれが可能だったら動物試験や臨床試験は必要ないということになります。
まとめると、第一に、釘が錆びないという抗酸化作用も、油の乳化作用も、単なる強アルカリ水であることによる作用です。つまり、ケイ素濃縮液でなくとも、漂白剤でも同じことが実証できます。
また、第二に、鉄の釘を強アルカリに浸したときの抗酸化作用が、「強アルカリ水を飲んで身体の中でも同様に起きる」ものとは決して言えません。このようなことが体内で起こるとは一切実証されていないです。これらの現象は、あくまで、ケイ素濃縮液(または漂白剤・業務用強力洗剤でも良いですが)そのものが強アルカリ性であるから起こる現象です。
少し前に、多くの水素水が摘発されたことが大ニュースとなりました。そのうちのアルカリ性の水素水の販売企業・メーカーが、この釘の抗酸化作用などと全く同じ手法と使って、対面営業販売をしていたのを記憶しています。実際に、私もその対面営業を目の前で受けたことがあります。一見なるほどと納得してしまうような説明も、ちょっと考えればおかしいという事が世の中には沢山あります。消費者の私たちは、このような一見正しく思えるような広告手法には騙されない様に、気を付けなければなりません。
「濃縮液タイプ」の強アルカリ性は、実は、強制的にケイ素を溶かすため(薬品融解)
最初に、私たち消費者がきちんと理解しておくべきことは、ケイ素(Si元素)はもともと水(H₂O)との親和性が低い、つまり、水に溶けにくい性質を持っている、ということです。そのため、本来、高濃度で水に溶けている状態は、自然な状態とは言えません。そこで、無理やり水に溶かそうとする場合は、強アルカリ性にする必要があります。つまり、濃縮液は、「水に溶けているから水溶性だ!」とアピールするために、ケイ素を強制的に薬品融解しているともいえます。強アルカリ性であれば、液体状態(水に溶けているように見える)ので、「水溶性です(実際にそのケイ素分子の特性として可溶化率が高いかどうかは別として)」と宣伝しやすくなるのです。
(※この点については、次のページで詳しく説明します。または、コラム「■化学研究者が教える独自の「水晶(鉱物)から水溶性ケイ素を作る方法!」」を参考)
「濃縮液タイプ」の強アルカリ性の危険性
最後に繰り返しになりますが、強アルカリ性での危険性を私たちは知っておく必要があります。
まず、強アルカリ性であるケイ素商品の濃縮液タイプは、そのまま飲むことは危険です。メーカーの推奨する通り、十分に希釈して飲むことをお勧めします。
強アルカリはたんぱく質を溶かします。手に付着してぬるぬるした場合はすぐに流水で洗い流してください。また、目に入ると大変危険です。液体タイプのものには希釈して肌に塗るような使用方法を記載しているものがありますが、十分に希釈することは目の周りや粘膜に触れないよう注意するとともに、原液が目に入った場合は失明することも十分にありえます。特にご高齢の方、お子様、ペットのいるご家庭は簡単に手の届かないところに置くなど十分ご注意ください。
尚、補足情報ですが、「シリシア(アントン・ヒューブナー)」は、希釈して服用するという点では濃縮液タイプと似ていますが、こちらはゼリー(ゲル状)商品で、pH=8~9程度の中性となります